記憶2
水に関して。
私は幼い頃から水がとても好きだ。なぜだかわからないが、その透明さ、光が反射してキラキラと輝く様は宝石よりも不思議で綺麗だなと思った。
ただ器に水をいれるだけでも何時間も眺めていられる。
何よりも興味を掻き立てたのは、”カタチ”を持っていないところだった。
蛇口から出れば、ロープ状になり、丸い器に入れれば、丸いカタチになる。
水が創り出すテクスチャはどれも人為的でなく、自然にできたものである。一時として同じカタチである事はなく、それもまた眺めているのが好きだった。
そしてもう一つの魅力はその触感だった。冷たい水には刺すような感触を感じた。もちろん水が冷たいからであるが、まるでガラスの中に手を入れているような硬さを感じた。硬いのか柔らかいのか。
暖かい、生温い水は、ゼリーのような触感を感じていた。冷たい水とは違って、なんだかギュッと掴めそうな感触。
不思議な感覚を味わいたくて、川や水道を見つけた時は必ず手をつけた。
無重力の空間では正円になるというのを勉強してから、水はやはり生命の象徴的存在で、命と同じく循環し、巡るものなんだと感じた。