イギリス留学日記

便所の落書き程度

冬と春の間

私は春が嫌いだ。そして特にこの冬と春の間がとても憂鬱だ。寒さも刺すような寒さではなく、背中を冷たい風が通るような感覚。温めてもかさついて温まらない手。これからの期待と不安と入り混じったヘンな時期だなと思う。人の気持ちは前向きなはずなのに、それに反して春は思ったよりも寒かったり、風邪を引いたりする。まるで油断するなよ、と言われているみたいだなといつも思う。寂しいような、楽しみなような。夢の始まりの感覚のようだ。いいことも悪いこともこれからまた始まって行くんだな、という感覚がなんとなく気持ちが悪い。

来月少し用ができたので、イギリスに行くことになった。とても楽しみだな。どうなろうと、もう一度ロンドンのあの雰囲気を味わえるのかと思うと、嬉しくて妄想ばかりしてしまう。あの街のあのエネルギーはなんだろう。どこから出てくるのかな。本当に魅力的。街全体が子供みたいだと思う。

私は小さい頃から、妄想癖がある。何か悲しいことや、事件があるとその背景を考えて、自分でストーリーやドラマを頭の中で演じている映像が頭に浮かぶ。もちろんこんなこと考えている奴は頭がおかしいとか思われるので、人には言ったことがない。両親が死んだところを妄想しては、姉や兄にその時になんて言葉をかけようとか私のその時の立ち位置、とかも考えていることもあった。なんというか自分が与える影響力みたいなものを、人に伝えて、人の気持ちを動かしたい、みたいな欲求がすごく強い。上に立ちたいと思うのも、そう言ったところかもしれない。操作したい、とかでなくて、単純に体験してみたいと思ってしまう、人の気持ちとか感性を。

なんとなく、小さい頃から、普通にしていないといけない、という強迫観念みたいなものがあって、中々その殻から25年間出れていない気がする。私が芸術を勉強しようと思ったのも、そういう自分から脱したいと思う思いがあったからだったなと今になって思う。あとは普通だね、と言われることが恐怖でもある。でも多分まだ脱しきれていない。だからこの、大事なものばっかりある、この国を抜け出してみたいな、とも思った。誰も私のことを知らない土地で、私はどんな影響力を人に与えられるのか。楽しい夢みたいなあり得ない妄想をしてほくそ笑む。

全部ぶち壊して、自分の命を凝縮させて生きたい。

 

2018.2.24